二世帯住宅の名義で後悔しない|住宅ローン控除と相続・贈与税を親子で整理するポイント

二世帯住宅では、土地代、建築費、諸費用、ローン返済を「親が出す金額」「子が出す金額」に分け、名義(登記名義:登記に載る所有者)と持分(共有名義の割合)は、原則としてこの負担割合に合わせます。
負担割合と登記持分が違う場合、贈与税の問題が生じることがあります。

目次

・名義の代表パターン(単独・共有・区分)
・住宅ローン控除は「借りた人」が基本
・負担と持分がズレると贈与税の対象になり得る
・相続で困りやすい点と相続登記
・まとめ

目次

名義設定のパターン(単独・共有・区分)

第一に単独名義(親だけ、または子だけ)。
第二に共有名義(親子で持分を持つ)。
第三に区分登記(建物を世帯ごとに分けて所有する登記)
です。家の形と資金計画により、選べる形が変わります。

パターン名義(登記)ローンの組み方(よくある形)相続の注意点(起こりやすいこと)
① 単独名義親のみ、または子のみ名義人が単独で借入(単独ローン)名義人が亡くなると、その持分(所有権全部)が相続の対象になる。相続人間で「住み続ける/売却する」の合意が必要。
② 共有名義親子で共有(持分割合あり)親子それぞれで借入(ペアローン)/親子の連帯債務/片方のみ借入もあり亡くなった人の持分が相続人に引き継がれ、共有者が増えやすい。共有者が増えると売却・リフォーム・建替えの合意が難しくなる場合がある。
③ 区分登記(世帯で分ける)建物を世帯ごとに分けて所有(専有部分ごとの名義)各世帯(親・子)が自分の専有部分で借入しやすい専有部分は単独で相続になるため、共有より整理しやすい傾向。共用部分や敷地(敷地権・共有)が絡む場合は管理ルールが必要。

「区分登記」:住宅の構造や登記の可否が関わるため、設計段階で建築会社・司法書士に確認が必要です。
「共有名義」:資金負担と持分がずれると贈与税の問題が出る可能性があるため、出した金額に合わせて持分を決める必要があります。

住宅ローン控除は「借りた人」が基本

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除:要件を満たすと年末残高などを基に計算した額を所得税から控除)は、令和4年から令和7年の入居分まで制度枠が示されています。
控除の中心は「住宅ローン等の債務者(借りた人)」です。名義だけを入れても、借入がなければ控除の話になりません。連帯債務(複数人が同じローンを返す約束)の場合は、当事者間の負担の取り決めにより、各人の控除対象となる借入金額が変わると国税庁が説明しています。
床面積の考え方も要注意です。親子で共有する住宅は、床面積を共有持分で割って考えず、建物全体の床面積で判断すると国税庁が示しています(区分所有は専有部分)。
また、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準への適合が原則要件になる旨が国土交通省から案内されています。

負担と持分がズレると贈与税の対象になり得る

住宅を親子や夫婦など複数人で購入する場合、登記の「持分(もちぶん)」と実際の「資金負担(お金を出した割合)」が一致していないと、税務上はズレた分が贈与(無償でもらった)と扱われる可能性があります。
国税庁も、負担と持分が一致しない場合に差額が贈与になり得るという考え方を、具体例で示しています。

「持分」とは何か

持分とは、その不動産をどの割合で所有しているかを表す登記上の割合です。
例:親子50:50の持分
→ 親も子も「半分ずつ所有している」と登記で示します。
一方で、税務で重要になるのは「その半分に見合うお金を誰が出したか」です。

税務で見られるのは「負担割合」と「持分割合」

税務では次の2つをセットで見ます。

  • 負担割合:頭金、諸費用、ローン返済などを、誰がいくら負担したか
  • 持分割合:登記で、誰がどれだけ所有しているか

負担割合と持分割合が一致しないと、お金を出していない人が持分を得た分について、「他の人がその人に財産を渡した(贈与した)」と判断される可能性があります。

数字でイメージする「差額の贈与」

例として、住宅価格4,000万円を前提にします。

  • 子の負担:3,200万円(頭金+ローン返済を子が実質負担)
  • 親の負担:800万円
  • 持分:親2,000万円相当(50%)/子2,000万円相当(50%)

親の持分は2,000万円相当ですが、親の負担は800万円です。
この差額の1,200万円相当について、税務上は「子が親に贈与した」と判断される可能性があります(結論は事実関係で変わります)。

逆に、親が多く負担しているのに子の持分を大きくした場合は、親から子への贈与の問題になります。

「親からの援助」がある場合に検討される制度:住宅取得等資金の贈与

親(父母・祖父母など)から子へ住宅資金の援助がある場合、一定の要件を満たすと住宅取得等資金の贈与の非課税制度を使えることがあります。
ただし、この制度は「援助があれば自動的に非課税」ではありません。制度には次のような確認点があります。

  • 受け取る側の年齢や所得などの要件
  • 住宅の要件(省エネ等の区分など)
  • 申告や添付書類が必要になるケース

制度の適用可否は条件で結論が変わるため、契約や登記の前に整理が必要です。
※税金の個別判断は税理士に確認してください。

相続で困りやすい点と相続登記義務化

相続登記の義務化とは(2024年4月1日スタート)

相続登記とは、亡くなった人名義の土地や建物を、相続人名義に変更する登記手続です。
相続登記は、2024年4月1日から申請が義務になりました。
義務化のポイントは次のとおりです。
相続で不動産を取得した相続人は、相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
正当な理由がないのに申請をしない場合、10万円以下の過料の対象になります。

期限はいつまで(過去の相続も対象)

相続登記の申請義務は、2024年4月1日以降に発生した相続だけではなく、それより前に発生していて、まだ相続登記が済んでいない不動産も対象になります。過去の相続分については猶予期間(3年間)が設けられており、一般的には2027年3月31日までに相続登記(または後述の相続人申告登記)を行う必要があります。

遺産分割がまとまらない場合の扱い

遺言がない場合や、相続人同士の話し合い(遺産分割)が長引く場合でも、期限は進みます。遺産分割で不動産を取得した場合は、遺産分割の日から3年以内に登記申請が必要と整理されています。話し合いがまとまらず相続登記が間に合わない場合には、義務を履行するための簡易な手続として相続人申告登記が用意されています。相続人申告登記をすると、一定の申請義務を履行したものと扱われます。
ただし、相続人申告登記は「権利関係を確定して公示する登記」ではなく、効果が限定的である点に注意が必要です。

相続登記をしないと起こること

1)過料(罰則)の対象になる可能性
正当な理由がないのに相続登記の申請義務を怠ると、10万円以下の過料の対象になり得ます。

2)売却・担保(住宅ローンの借換え等)が進められない
登記簿上の名義が亡くなった人のままだと、売買や担保設定の場面で手続が止まりやすくなります。

3)相続人が増え、権利関係が複雑化する
相続登記をしないまま時間が経つと、次の相続が重なり、相続人が増えて合意形成が難しくなるリスクが高まります。

4)相続人の債権者対応が発生する可能性
相続人の中に借入れ等の事情がある場合、債権者が法定相続による登記を進め、持分の差押え等に進む可能性があると説明されています。

まとめ

二世帯住宅は、資金負担、名義(持分)、ローンの組み方、控除、相続が連動します。
アクシスFP事務所(藤枝市)では、負担割合の整理、名義の整理、住宅ローン控除の確認ポイント、相続まで見据えた家計設計を支援します。税務の最終判断が必要な場面は税理士等の専門家につなぎます。
具体的なケースを数字で整理したい方は、当事務所へお問い合わせください。

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この記事を書いた人

行政書士(静岡県行政書士会所属) ・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 ・宅地建物取引士
住宅業界のキャリアは30年以上。住宅販売から情報システムの企画・運用からマーケティングまで幅広く担当。
宅地建物取引士として分譲地・分譲住宅の販売にも携わってきました。
ホームページ・各種SNSなどのWEB制作サービスも可能です。
趣味は、陸上競技。マスターズ陸上の短距離(60m、100m)
静岡マスターズ陸上M55クラスの静岡県記録保持者。
各地の陸上競技場で走っています。

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