賃貸の家賃と同じくらいなら安心?「家賃並み返済」の落とし穴と考え方

今回は、住宅会社の売り文句の一つとしてよく聞く「家賃並み返済」というキャッチコピーについて、「賃貸住宅の家賃」と「持家の返済額」を他の条件も含めて本質的な違いを比較します。
毎月の返済額だけでなく、総住居コストや将来ビジョン、周辺環境まで含めて検討することが大切です。


まずは毎月いくら“住まいに”出ていくかを同じ条件で比べましょう

固定資産税や保険、修繕相当を加えて月次の費用負担を考える

賃貸は家賃と共益費が中心です。
持家は返済額に加えて、固定資産税、火災・地震保険、将来の修繕費に備える積立(屋根外壁、給湯器、空調など)を含める必要があります。月次の総住居コストを揃えると、本当の負担感が見えてきます。

【持ち家における毎月の負担額の目安】

項目基本の考え方月額化の計算式(型)参考レンジの目安
住宅ローン返済金利・期間で決定金融機関シミュレーターで算出物件・条件による(例:4,000万円・1.5%・35年で約12万前後)
固定資産税・都市計画税評価額×税率を月割評価額×(1.4%+最大0.3%)÷12評価額3,000万円なら月約0.4~0.9万円(軽減前後で変動)
火災・地震保険複数年一括を月割保険料総額÷契約月数月0.1~0.4万円(構造・補償で差)
将来の修繕積立相当建物維持の平準化建物価格×0.5~1.0%÷12建物2,500万円なら月1.0~2.1万円
管理費等(区分所有)マンションのみ管理費+修繕積立金1.5~3.5万円(規模次第)
駐車場敷地内は0円も台数×料金0~2.0万円(地域差大)
初期費用の平準化(任意)登記・手数料等を月割初期費用合計÷想定居住月数条件により0.5~1.0万円相当

つぎに初期費用と更新費用の違いを理解しましょう

入居時や数年ごとの支出タイミングが違う点を家計表に反映しましょう

賃貸は入居初期の敷金・礼金・仲介手数料が、数年毎に更新料などが発生します。
持家は入居初期に登記費用、ローン手数料、火災保険、引越し、外構・照明・カーテンなどがかかりますが、更新料はもちろん基本ありません(定期借地権の場合は掛かる場合もあります)。
支払いのタイミングが異なるため、手元資金の厚みも比較の軸になります。

金利と返済の変動可能性をあらかじめ見ておきましょう

固定金利は返済額が一定、変動金利は将来増える可能性を想定しましょう

固定金利は完済まで返済額が変わらないため、教育費ピーク期などでも見通しが立てやすいのが強みです。変動金利は当初の返済が軽く、選ぶ人が増えていますが、金利見直しで返済額が増えるリスクがあります。変動を選ぶなら「金利が1%上がった場合の返済額」で家計が回るかを必ず確認しましょう。

賃貸と持家を比較してみましょう

数字の置き方をそろえると賃貸と持ち家の費用負担の違いが見えてきます

比較項目賃貸(例)持家(例)
月次の内訳家賃12.0万+共益費0.5万返済11.0万+固定資産税等0.8万+保険0.2万+修繕積立相当0.5万
合計(月)12.5万円12.5万円
変動要素更新料・家賃改定金利見直し・修繕の上振れ
初期費用敷礼・仲介・引越し登記・手数料・保険・外構・照明・カーテン等
退出時原状回復費売却コスト・残債精算

同じ「月12.5万円」でも、持家は修繕や金利、税金の影響を受けますので、正味で住宅ローンの支払いに回せる金額は少なくなります。
家賃分の金額をそのままローン支払いに充当するというイメージで資金計画を組むのは危険です

「家賃並み返済」でよくある”落とし穴”

月の返済だけ賃貸と並べ、持家の維持費を見落としてしまう

月の返済額の他に、定例で固定資産税、火災保険(地震保険)、修繕相当積立分を確保する必要があります。
修繕相当分は軽視されがちで、予算を確保していない方も多いですが、外壁の塗り替えや給湯器などの機器の交換の時期は重なることが多いので、一気に負担が集中してしまいます。最初から月次コストに平準化して計上しましょう。

自己資金を過度に投入しすぎて、生活防衛費や必要な手元資金が薄くなる

現在の家賃に月々のローン返済額を合わせたい一心で、最初に自己資金を入れ過ぎるのは危険です。
いざというときに備える生活防衛資金(生活費の3〜6か月分)を残しつつ、入居直後に必要となる家電・カーテン・引っ越し費用などの現金支出分も、余裕をもって確保しておきましょう。

変動金利の上振れリスクを無視してしまう

当初の返済金額だけではなく、「現在の金利+1%」と「一時的な収入減」などの想定できるリスクを考慮してライフプランを作成し、長期的な視野で考えることも重要です。

まとめ

今回は、「家賃並み返済=安心」とは限らない点を整理しました。
毎月の返済額だけではなく、固定資産税・保険・修繕相当を加えた総住居コスト、初期費用と現金余力、金利や家賃の変動、そして出口の選びやすさまで同じ土俵で比べる必要があります。
ご自身の家族に最適な住まいの予算を検討したい方は、現状の手取り額、現在の家賃、検討中の借入条件(固定か変動か、金利と期間)、希望エリア等の条件をお伝えください。
返済比率・総住居コスト・変動シナリオをまとめ、納得感のある判断までご案内します。

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この記事を書いた人

行政書士(静岡県行政書士会所属) ・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 ・宅地建物取引士
住宅業界のキャリアは30年以上。住宅販売から情報システムの企画・運用からマーケティングまで幅広く担当。
宅地建物取引士として分譲地・分譲住宅の販売にも携わってきました。
ホームページ・各種SNSなどのWEB制作サービスも可能です。
趣味は、陸上競技。マスターズ陸上の短距離(60m、100m)
静岡マスターズ陸上M55クラスの静岡県記録保持者。
各地の陸上競技場で走っています。

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