共働きからどちらかが退職したとき、住宅ローンはどうする?

共働き前提で組んだ住宅ローンを、ご夫婦の片方が退職・介護休業など何らかの理由で長期で収入が無くなる、または減ってしまった後も無理なく住宅ローン返済を続けるための手順を整理します。
毎月払えるかだけでなく、金利タイプや返済年数の調整、保険や家計の並べ替えまで一気通貫で確認すると、判断に迷わない進め方になります。
現状の生活を維持する安全ラインをつかみましょう
返済比率を手取り収入で計算して負担度を把握しましょう
返済比率は「手取り収入に対する毎月の住宅ローン返済額の割合」です。
目安は20〜25%、上限は30%に置くと点検しやすいです。
例:手取り36万円・返済9万円なら25%。片方が退職し手取りが24万円になると、同じ返済9万円で37.5%に跳ね上がります。
住宅ローンの契約の型ごとに影響点が違います
単独ローン・収入合算・ペアローンを区別して考えましょう
・単独ローン:名義者の契約はそのままでも、家計全体の返済比率は上昇します。
・収入合算:合算相手が退職すると余力が低下し、家計の耐性が落ちます。
・ペアローン:双方が別々に借りているため、退職側の返済分をどう賄うかが焦点になります。ペアローンは双方に団体信用生命保険(団信)が付きます。団信は、債務者が死亡・高度障害などになった場合に残債が弁済される保険です。
収入が減る前に返済条件を見直しましょう
金利タイプの見直しと返済年数の調整で月額を平準化しましょう
・固定金利のローン商品に切替え(または固定比率を上げる):変動金利より支払い月額は上がりやすいですが、将来の上振れを止められます。
・返済年数の延長:支払い月額は下がりますが、返済期間を延ばす分、総支払い利息は増加します。復職後の繰上げ返済で期間短縮を計画できるかとセットで判断します。
・返済方式の一時変更:元金据置・一時的減額など、金融機関のルール内で軽減できる場合があります。
・借換え:諸費用と金利差、残期間・残高の条件が合うかを試算します。
ポイントは「収入減が起こる前に複数行へ打診する」ことです。早いほど選択肢が広がります。
家計の見直しによるキャッシュフローの改善検討
固定費削減と積立の優先順位づけで安全圏に戻します
・通信・サブスク・保険の重複を整理し、毎月の固定費を圧縮します。
・生活防衛資金(生活費3〜6か月分)は死守し、教育費・住宅維持費の積立は金額を落としても継続します。
・変動金利を継続する場合は、金利が1%上がった想定で家計を再計算し、赤字にならないかを確認します。
団信の範囲と就業不能リスクの保険を棚卸します
・付帯保障(がん・三大疾病・就業不能)の有無と、免責期間・給付条件を確認します。
・ペアローンでは退職側の保障が薄くなりやすいので、家族全体での保障バランスを見直します。
収入減の期間・給付金の入金時期・保育料などを月別に置きましょう
・金融機関に、減額・条件変更を適用できる期間と復帰の設定を確認します。
・復職予定月に自動原状復帰できるかを事前に決めると運用が安定します。
ひと目で比較できる簡易シミュレーション
前提:手取り36万円→24万円、毎月返済9万円、住居付帯費(固定資産税・保険等)1.3万円
| 比較軸 | 退職前 | 退職後(対策なし) | 退職後(対策あり) |
|---|---|---|---|
| 手取り額 | 36.0万円 | 24.0万円 | 24.0万円 |
| 住宅ローン返済額 | 9.0万円 | 9.0万円 | 7.6万円(返済年数延長) |
| 住居付帯 | 1.3万円 | 1.3万円 | 1.3万円 |
| 返済比率 | 25.0% | 37.5% | 31.7% |
| 固定費削減 | — | — | 1.2万円削減 |
| 積立調整 | — | — | 0.5万円一時減 |
| 実質比率目安 | — | — | 約26.7%相当 |
返済年数の延長と固定費削減を組み合わせると、手取りの範囲に戻せる道筋が見えます。総利息は増えるため、復職後は繰上げ返済(期間短縮型)で利息を取り戻す設計にします。
よくあるミスと対処方法
退職後になってから金融機関へ相談する
収入が下がった後で初めて相談し、条件変更や借換えの選択肢が限られてしまう。
退職・介護休業等の長期での収入減の予定が見えた段階で、複数行へ事前相談します。返済年数延長、返済方式の一時変更、固定金利への切替え、借換え可否を同時に確認します。
ボーナス返済をそのまま残す
片働き期間は賞与が不安定なのに、ボーナス返済を維持していると資金繰りが逼迫してしまいます。
ボーナス返済を縮小または廃止して月割に変更し、復職後の繰上げ返済(期間短縮型)で利息増を取り戻す計画を同時に作ります。
変動金利の上振れを試算しない
当初返済が軽いことだけで判断し、金利見直し後の増額を見落としてしまうことで、将来に家計が急に逼迫することがあります。
金利+1%のストレスをかけて家計表を再計算。耐えにくければ固定への切替え、固定比率の引上げ、返済年数の調整を組み合わせて平準化します。
保険と家計の見直しを後回しにする
団信の付帯内容や就業不能保険を点検せず、片働きに移行してしまうのは危険です。
団信の補償範囲・免責期間を確認し、医療・就業不能の過不足を整理。通信・サブスク等の固定費も同時に棚卸して返済比率を安全圏に戻します。
まとめ
今回は、共働きから片働きになる局面での住宅ローン対策を整理しました。
要点は、退職前に返済比率を再計算し、返済条件の調整と家計の並べ替えを同時に行い、片働き期間は守りの設計、復職後は繰上げ返済で取り戻す流れです。
ご家庭ごとに前提が異なります。
現在の返済額・金利タイプ・残高、退職後の手取り予定、保険内容を共有いただければ、「現状維持」「条件変更」「借換え」の三案を同じフォーマットで試算し、最適な順番までご提案します。
まずは状況をお聞かせください。

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